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引用:telling.
30代前半なのに不妊?専門家「『自分は大丈夫』という人、たくさん見てきた」
不妊治療の支援拡大が議論されていますが、不妊に悩むカップルはなぜ増えているのでしょうか。「出産時期を遅らせても大丈夫?」「AMH検査ってなに?」――。生殖医療専門医で『「妊娠できるか検査」に行ってみた』(KADOKAWA)の監修もした齊藤英和さんに、不妊にまつわる20代、30代前半のうちから知っておきたいことについて、ライター自身の関心事も含めてお話を伺いました。
不妊治療をする人が増えている?
――私は35歳なのですが、同い年で2、3年前から不妊に悩む友人がいます。一般に30代前半で不妊というのは珍しいのでしょうか。
齊藤英和先生(以下、齊藤): 決して珍しいことではありません。「妊娠できない」と気づく時期は人それぞれ。40歳でわかる人もいれば、20代でもなかなか子どもを授からなくて気づく人もいらっしゃいます。晩婚化が進む日本では、子づくりをするタイミングが遅くなっているので、不妊だと判明する年齢は上がっていますね。
――厚生労働省の2019年の人口動態統計によると、女性の平均初婚年齢は29.6歳、第1子の平均出産年齢は30・7歳です。
齊藤: 自然妊娠の場合、妊娠しやすい年齢のピークは25歳前後といわれていますが現在、平均出産年齢が30歳超になっています。比例して不妊の人が増えている。しかも不妊治療を受けるにしても、年齢が上がれば妊娠するまでの時間は長くなりますし、体外受精・胚移植法といった高度な技術を必要とする「高度不妊治療」の必要性も出てきます。
――高度不妊治療では、患者にどのような負担がありますか。
齊藤: 現在、保険適用の議論が行われているように、治療費が高額になりやすいので、経済的な負担が大きい。加えて、針を刺したり飲み薬を飲んだりする必要があります。もちろん、一回の治療では妊娠しないことが多いので精神的な負担も。それに通院や治療に費やす時間的負担もバカにできません。様々な負荷がかかり、生活や仕事に影響が出てしまうのです。
――保険適用には賛成ですか。
齊藤: 不妊治療を受ける人には希望の光ですね。ただ、先ほど話したように不妊治療は経済的負担だけではなく、精神的にも肉体的にもつらい。保険適用を手放しには喜べません。費用負担が少額になると、「妊娠時期を遅くしても、高度な不妊治療を受けられるから大丈夫」との誤解も招きかねません。 不妊治療がめざしているのは「その人がもつ」妊娠能力の上限です。年齢によってそもそもの能力が下がる。だから不妊治療にできるのは、減った時点での最高到達点まで引き上げるだけ。決して20代の妊娠力が復活するわけではないので注意が必要です。
妊娠する能力は永遠じゃない
――仕事を考慮し、出産の時期を遅らせる場合も多いと思います。
齊藤: 時期を遅らせたら、妊娠の能力は基本的には落ちます。20代で不妊治療が必要な人がいたり、30代後半を過ぎても簡単に妊娠できる方もいたりと、実際は多様ですが、確率的には年齢が上がるほど妊娠しにくくなる。不妊治療は様々な負担がかかるので、キャリアを積みたい人こそ、本来は避けるべきです。それなのに、「自分は大丈夫だ」という根拠のない自信をもっている人がいます。診察でもたくさん、お会いしてきました。
大きな原因は、基本的な知識を教育の中で、教わっていないことです。避妊や性感染症のことだけを習うと、避妊をやめたらすぐに妊娠すると思ってしまう。知識がないがゆえに仕事を優先させてしまっているケースもあると感じています。
AMH値ってなんですか?
――妊娠できるか否かを調べる方法についてもうかがいたいです。不妊治療の取材中にAMH検査という言葉を耳にしたのですが。
齊藤: AMH(アンチミュラーリアンホルモン)値をはかることで、卵胞の概数を知ることができる。自分の卵巣にある卵子の数が、同年齢の平均と比べて多いか少ないかはわかりますが、それだけで妊娠のしやすさは決まりません。ただ、卵子の数はひとつの指標ではある。少なければ早く卵子がなくなる可能性があります。
不妊治療においてはAMHを含むホルモン検査、卵管検査、男性の精子検査の3つが代表的です。一般的な婦人科では行っていないところもあるので、検査を受けたければ事前に調べることをおすすめしますね。
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