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精子提供・体外受精・人工授精・不妊治療等に関するニュース【2019.8/6】

2019.08.06
精子提供・体外受精・人工授精・不妊治療等に関するニュース【2019.8/6】

こんにちわ。管理者のミライです。
体外受精、人工授精・不妊治療に関するニュースをご紹介いたします。

引用:時事通信社

厳しい高齢の出産 =「妊活」の限界知ろう

「妊活」という言葉が定着しつつあるように、子どもが欲しいと望むカップルは多い。製薬会社の調査(2018年)でも、20~40代の男女の半数が「いつか子どもが欲しい」と考えていた。ただ、専門家は「基本的に高齢な女性ほど妊娠しにくいことを知ってもらいたい」とした上で、シングル(独身)の女性の出産に対する支援や養子制度の充実など多様な選択肢が大切だ、と指摘する。

37歳で確率急低下

製薬会社メルクバイオファーマが2019年に20~40代の男女約2万3200人を対象に実施したインターネット調査によると、働いている4人に1人が「妊活の経験がある」と回答。このうち約半数が「不妊治療の経験がある」と答えた。

妊活における問題は、年齢が高い女性は出産が難しいケースが多い点だ。埼玉医科大学の石原理教授(いしはら・おさむ=産科婦人科学教室)は「例えば、38歳で結婚し40歳まで妊娠しない人が受診する。私たちとしては、ありとあらゆる方法を試すが、うまくいかないこともある」と語る。

「まだ、妊娠するのは大丈夫だ」と考えている35歳前後の女性も多いだろう。石原教授によると、20~25歳の女性は妊孕性(にんようせい=妊娠する力)が高い。ところが、妊孕性は35歳で低下し始め、37歳になると急激に低下する。45歳以上では極めて厳しい状況になる。「生物学的に言えば、卵子の質が低下する。それは治療の問題ではなく、自然なことだという点を理解してほしい」と強調する。

体外受精にもハードル

なかなか妊娠しないときに、まずチェックする必要があるのは「卵管閉塞(へいそく)」と「男性因子」だ。男性の側に、無精子症か精子の量が極端に少ないこともある。世界保健機関(WHO)も、まず行うべき検査として卵管検査と精液検査を推奨している。ただ、いろいろと調べてみても、不妊の原因が分からない人は多いという。

不妊治療の決め手とされる体外受精にも課題はある。体内から卵子を取り出し(採卵)、体外で受精させ、胚を子宮に戻す方法だが、石原教授は「37歳という年齢を超えると、うまくいかない可能性が高くなる」と指摘する。

以前より体外受精を望む人の治療上の負担は軽減されたが、最も良いタイミングで採卵する必要がある点は変わらない。働いている女性の場合、職場の上司や同僚の理解が不可欠だ。メルクの調査では、従業員300人以上の企業でも、女性が職場で妊活について相談しやすい状況にはない。

カップルで来院増加

妊活をめぐる変化にも注目したい。カップルで埼玉医科大学病院を訪れるケースが増えているからだ。石原教授は「男性不妊のことが報道されるなどして、周知の度合いが上がってきたからだろうか。いずれにしろ、良いことだと思う。不妊の原因は男女双方にあるのだから」と評価する。

足りない社会的支援

女性の高学歴化や社会進出などで、「子どもを持ちたい、妊娠したい」と望む女性の年齢が上がっている。しかし、高齢になるほど妊娠はしにくくなる。日本や韓国、台湾など東アジア諸国の出生率は低い。大きな要因の一つは経済的なものだとみられる。「フランスやスウェーデンなど欧州の国で出生率が回復したのは、国による経済的なサポートがあることも大きい。日本は社会的なサポートが足りない」

初産年齢が上昇している。日本全体では、30歳を超え、東京23区では約34歳とみられている。かつては祖父や祖母になるのは50歳頃だった。現在、孫を得る時には、70歳を超えていることも珍しくない。自らの体力的な衰えもあり、昔のように孫の面倒を見ることはできなくなる。これも、サポート力の低下につながっている。

欧州では、シングルの女性やレズビアンのカップルらが、第三者に精子を提供してもらい、子どもを持つ人が増えているという。日本や韓国では、生まれた子どものうち「未婚」の女性が出産した子どもの割合は約3%と極めて少ない。欧州や米国は、30~40%が婚姻していない女性の出産だ。この差は大きい。

「女性が妊娠したと分かると、相手の男性と結婚する。シングルの女性が子どもを産むと、社会的サポートが受けられないことの裏返しではないか」

養子という選択肢も

どうしても子どもが欲しい、という思いは切実だ。ただ、妊娠出産が難しければ、他の多様な選択肢もあるのではないか、と石原教授は問題提起する。日本では想像できないが、外国では「国際養子」が普通だ。かつて米国や欧米は、中国や韓国、ベトナムなどから養子を迎え入れた。現在はアフリカ諸国の子どもを養子にするのが主流という。

日本にも特別養子縁組制度はあるが、国は直接関与せず、民間の団体が養子をあっせんしている。団体によってさまざまな要件が課されるが、子どもを育てた経験を問われるなど、かなりハードルは高い。このため、養子縁組が実現するまで時間がかかることもあるという。