こんにちわ。管理者のミライです。
精子提供、体外受精、人工授精・不妊治療に関するニュースをご紹介いたします。
引用:現代ビジネス
不妊治療費の助成は1月から 事実婚カップルも対象に
現在、特別養子縁組に向けて待機している嶺かおるさんが、遠距離恋愛の末、12歳年上のパートナーと「事実婚」をしたのは34歳のこと。そして不妊治療をはじめ、一時休止を経て、治療開始から2年後の36歳で不妊治療を終了した。
お金と時間と労力とをかけてまで、なぜ自分たちは子どもを欲するのか…。自問自答を繰り返す嶺さんの思いの丈を綴るこの連載。第1回目は、生き方の多様性を求め、「事実婚」や「養子縁組」を選択するに至った過程を語っていただいた。
第2回目は、2年の歳月を費やした不妊治療の際に判明した、パートナーの「男性不妊」について振り返る。
不妊治療を開始したワケ
晴れて挙式し、沖縄生活がスタートした2016年4月。私は34歳、トビー氏(未届の夫。トビハゼに似ている)は46歳、なんならその数か月後に47歳を迎えた。自分たちの子どもができない場合の選択肢として養子縁組もあり得ると思っていた私は、持ち前の前のめりを発揮して、日本における養子縁組の制度についても調べていた。
多くの斡旋団体は養親(養子を希望する夫婦)の年齢制限を45歳以下としていて、その条件が緩いところでも、50歳以下としていた。つまり、トビー氏の46歳という年齢は赤信号寄りの黄信号ということだ。
というわけで、一般的に不妊を疑って病院に行くべきタイミングとされる「妊娠を目指して(排卵日前後に避妊せずに性交する)1年くらい経っても妊娠しない場合」より早い5か月後に私は近所の婦人科に足を運んだ。
医師から告げられた結果は…
次の診察日。前夜に性交せずに寝てしまったトビー氏と私は、それこそ完全に義務感で朝性交して、私は診察に向かった。診察の結果、医師から「ほとんど膣に精子がついていない」と告げられた。前夜どころか数時間前に性交していたのにもかかわらず、だ。
次は精液を持参するようにと、小さなプラスチック容器を渡された。事情をトビー氏に話すと、その精液持参の診察の際には自分も同席すると言って半休を取った。今思うとこれはかなりありがたかった。というのも、その精液持参の診察で、正式にトビー氏の精子の数が少ないことを医師から告げられたのだ。
もしトビー氏が同席しなければ、私はどんな顔で、どんなトーンで、そしてどんなフォローを用意して伝えるか悩んだろうし、どんなにうまく伝えたって、「あなたの精子は少ない」と言われて傷つかない男はいないだろう。そういう意味で医師から直接トビー氏に通知がされたことをよかった。
その診察の際にこれ以上の治療は不妊治療の専門院でないと難しいと言われ、紹介状を書いてもらうことになった。不妊治療をどこの病院/クリニックで受けるのか、というのが、不妊治療を受けるにあたっての最初のお悩みポイントだ。幸か不幸か私の場合は沖縄在住だったので最初から選択肢は限られていた。
事実婚でも不妊治療はできる
実は不妊治療をすることになった話を、10歳くらい年上で子どもが2人いる知人男性に話した。その人は2人の子どもを両方とも不妊治療の末に授かっていた。東海地方に住んでいるにもかかわらず、不妊治療は東京のクリニックで受けたという。その東京のクリニックは妊娠率が高いから東京まで通ったらどうだ、と言われた。
フルタイムで働いていた私はその話を右から左に流した。けれども、不妊治療は自由診療のため、クリニックによって治療方針がかなり異なることは後で知った。本州で治療を受けることになっていたら、クリニック選びだけでも一苦労だったな、と思う。
私たちは症例数の多い沖縄県内の不妊治療専門クリニックを選んだ。こだわりの建築に看護師さんたちも一般的なナース服ではない制服で病院感を薄くしていた。さらにカフェが併設されていたり、順番をきたことを知らせるiPod touchにはゲームが入っていた。
素敵なソファーも数多く配置されていて、受診者が時間を潰したりリラックスできるように心配りがされているのだが、裏を返せば、リラックスさせなきゃいけないほどに、毎回めちゃくちゃ待たされるのだ。1、2時間待ちはザラで、3時間以上待たされたこともある。「私たち予約しましたよね? ? 皆さん予約制ですよね? ?」と聞きたくなるほど、というか実際聞いたことがあるくらいだ。
婚外カップルが子どもをつくるための治療はできない、とか、そういった倫理方針ということなのだが、「なるほど、そりゃそういうことを考える人もいるよな」と思った。しかも、戸籍は定期的に提出を求められると説明がされた。また、沖縄県は不妊治療に対して当時から助成金を出していた。
この助成金は法律婚していて、世帯所得が730万円未満であることが条件だった。壮年期の共働き世帯の我が家はいずれにせよ年収が超えていていずれにせよ対象外ということで、不妊治療にあたっても事実婚であることは障壁にはならなかった。
不妊治療を続ける際の心がけ
というわけで本格的な不妊治療がスタートしたわけだが、最初はとにかく検査をたくさん受けた。問診、エコー検査、採血、そしてトビー氏の精子の状態の検査。検査の結果、私側のこととして子宮筋腫が認められた。
私はそもそも、それまでの婦人科検診で子宮筋腫の診断を受けていた。生きていくのに支障はないと言われていたので定期的に検診を受けるに留まっており、この時の検査結果の医師の初見でも、妊娠に対して問題となっているとは考えづらいと言われた。
「精液を遠心分離? !」と笑いそうになったが、笑えないのがその結果である。提出した2mlの精液全体から運動している精子が6個見つかったと言われた。60万個でもなく600万個でもなく、6個だ。基準値として示されていたのは、1mlあたり1500万以上なので桁が違いすぎる。
婦人科ですでに精子数が少ないと言われていたものの、この日のトビー氏の落ち込みはなかなかのものだった。この頃から、「いかに落ち込まずに治療に臨むか」ということを心がけるようになった。いかんせん不妊治療には気落ちする要素がありすぎるのだ。
パートナーと二人で決めたこと
不妊治療は大まかにいうと4つに分かれる。1排卵日に合わせて性交する「タイミング法」、2採取した精液を医師が子宮内に注入する「人工授精」、3採取した精液を、採取した卵子にかけて受精させ、その受精卵を子宮にもどす「体外受精」、4採取した精液から精子を1個選び、採取した卵子に直接注入して受精させ、その受精卵を子宮内に戻す「顕微授精」の4つである。
不妊の原因や男性および女性のそれぞれの身体の状態に応じて、なるべく自然妊娠に近い形、つまりはタイミング法から順番に行っていくのが通常だ。ところが私たちの場合はトビー氏の精子の数が異常に少なかったため、顕微授精しか妊娠は望めないと医師から言われた。時間が限られている私たちにとってこの方針は、結果的には寄り道が減ったと言えるかもしれない。
私たちが治療を受けたクリニックでは、体外受精および顕微授精にあたって、本来であれば月に1つしか育たない卵子を、薬を使用して卵子をなるべく多く育てて一気に採卵し、受精卵を願わくは複数つくった後、月に1つずつ子宮に戻して着床を目指す治療方針を取っていた。
顕微授精を行っていくという治療方針を決めた際に、トビー氏と1つ決めたことがある。それは治療を1ターンしたらそこで止めるということだ。1ターンとはつまり、最初の1回の治療で採卵できた卵子の個数に関わらず、とにかく採卵は1回しかしない、ということ。
当時、私が新聞やネットで読んだ不妊治療の体験談には必ずと言っていいほど、“妊娠に至らなくても「次こそは」と思って止められず、精神的に疲労すると同時に経済的な負担も大きくなった”というエピソードがあった。
そのため、治療は1ターン限りとして、それでうまくいかなければ、養子縁組を目指す方針に切り替えることを先に決めた。冒頭の繰り返しになるが、トビー氏の年齢は次のステップの養子縁組において赤寄りの黄色信号なのだ。
ここからいよいよ本格的な不妊治療をスタートしていくわけだが、その話についてはまた次回…。
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