体外受精・人工授精・不妊治療等に関するニュース【2019.3/12】

こんにちわ。管理者のミライです。
体外受精、人工授精に関するニュースをご紹介いたします。

引用:YAHOO!ニュース

意外にも年齢が高い程、体外受精による発生異常は少ない

世界で最初の体外受精は英国の医師ロバート・ジェフリー・ロエドワーズ博士(Robert Geoffrey Edwards(1925年9月27日-2013年4月10日):生物学者。ケンブリッジ大学名誉教授。ロンドン王立協会フェロー(FRS)。専門は生殖医学)により1978年に行われた。そして、普及は急速に進み、我が国では全出産の3%を超えている。様々な批判はあったが、この普及ぶりを認めたノーベル財団も、エドワーズ博士に2010年のノーベル医学生理学賞を授与している。

ただ30年以上が経過し、当たり前の技術になった今も、この技術については倫理的、医学的な根強い批判が続いている。その最大の理由は、生殖補助医療(assisted reproductive technologies:ART)による出産では、発生異常の確率が高いことと、この治療を受けるカップルの経済的・精神的負担の問題だ。特に、体外受精を望まれる夫婦は年齢が高く、これも様々な胎児の発達障害が起こるリスクが高い一因となると考えられてきた。

今日、紹介したいオーストラリア・アデレード大学からの論文は、南オーストラリア地区で1986年から2002年にかけて生まれた児童を対象にARTの胎児発生への影響を追跡調査した研究だが、私の予想を完全に裏切る結果に驚いた。

タイトルは「Maternal factors and the risk of birth defects after IVF and ICSI: a whole of population cohort study(体外受精と顕微授精による出産時異常発生リスクに関する母体要因:全出産児対象コホート研究)」で、10月17日に「International Journal of Obstetrics and Gynecology」オンライン版に掲載されている。

この調査では、約30万人の出産を、自然妊娠、体外受精、顕微授精による出産に分け、死産、早産、発生異常の診断に基づく人工流産、400g以下の体重など、正常出産ができなかったケースの全てを出生に関わる異常としてカウントし、その頻度を自然妊娠とARTで比べている。

結果だが、予想通り体外受精、顕微授精では出生時までに何らかの異常が存在した率がそれぞれ、7.1%、9.9%と、自然妊娠の5.8%に比べるとかなり高く、これまでの統計を裏付けている。

しかし、驚くのは、出産時の年齢を30歳から40歳以上と、5歳区切って統計を取ると、正常妊娠では出産時異常率が、年齢とともに上昇する(30歳前は5.6%だが、40歳異常では8.2%)のに対し、驚くことに体外受精か顕微授精で妊娠した母親の場合、30歳以前(体外受精vs顕微授精:9.4% and 11.3%), 30-34歳(6.1% and 9.9%)、34歳から40歳(7.7% and 9.4%)、そして40歳以上では(3.6% and 6.3%)と年齢が高いほど異常率が著明に低下している。

もちろん母親の他の健康条件により、異常率は大きく左右されるが、それぞれのグループでの偏りは少なく、30万人という十分な数で見たとき、予想に反しARTによる出産では、年齢が高いほど異常率が改善するという結果だ。

体外受精の場合、受精後試験管内で胚を培養したあと見た目の正常胚のみを選んで着床させるが、おそらく年齢の高い母親からの胚ほどこの選別過程で良い胚を選びやすいのだろう。要するに、年齢の高い母親からの胚では、小さな異常が試験管内から着床までの過程での異常に直結し、よほど強い胚だけが着床できるため、その後の異常率が減るのだろうと考えられる。

他にも様々な理由は考えられ、今後、基礎的な研究が必要だ。こういった研究から、新しい正常胚の選び方が明らかになるかもしれない。いずれにせよこの分野にとっては、重要な発見だと思う。

もちろん年齢が高くなるほどARTの成功率は落ちるため、この結果を見て、もっと後でARTを受けるという話にはならない。

またこの技術はこの治療に当たるスタッフの経験やスキルに負うところも多く、国別比較は難しい。

このため、一概にこの調査結果が我が国に当てはまるかどうかはわからないが、正確な調査を行っている点は、我が国も見習うべきだろう。

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