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精子提供・体外受精・人工授精・不妊治療等に関するニュース【2021.3/9】

2021.03.09
精子提供・体外受精・人工授精・不妊治療等に関するニュース【2021.3/9】

こんにちわ。管理者のミライです。
精子提供、体外受精、人工授精・不妊治療に関するニュースをご紹介いたします。

引用:COURRIERJAPON

「イケメン大卒者の精子」が“売り切れ”続出─パンデミックで枯渇する精子バンク

パンデミックによって、精子バンクは世界各地でどこも精子不足に陥っている。そして供給不足とテクノロジーの広がりによって、世界中で精子提供のあり方が大きく変わってきているという。レズビアンであり、パートナーを持ち、自らも精子提供者を探す米紙記者が、自身の体験も踏まえた渾身のルポルタージュをまとめた。

アメリカの「精子王」たちは疲れ果てていた。

彼らはあちらこちらを飛び回っている。彼らはDNAテストを受け、彼らの精子は新しい保管システムで輸送される。それこそが女性たちの今求めることだからだ。彼らは電話での取材に応じることはできるが、早めに切り上げて欲しいと言われる。

ダラスやカンザスシティ、ポートランドやメインに向かっているところだからだ。女性の排卵のタイミングに間に合うように。それに加え、自分たちは本職も持っているのだと強調した。

「人々は精子バンクにもう、うんざりしているんです」と、カイル・ゴーディは話す。29歳になる彼はカリフォルニア州のマリブ在住だ。不動産投資業を行うものの、ほとんどの時間を費やして旅費以外無料で女性に精子を提供する。

また、1万1000人近くのメンバーを擁する私的なFacebookグループ「スパーム・ドネーションUSA」も主宰し、女性たちが何百人もの認可ドナーと繋がれるように手助けしている。彼の提供した精子ですでに35人の子供が生まれ、さらに5人が生まれる予定だと言った。

「女性たちは、これがもうタブーじゃないと気づいたんです」とゴーディは言った。

もしあなたが精子を生み出す体を持つ、約1憶4100万人のアメリカ人のひとりならば、精子はいくらでもある安価なものだと感じることだろう。しかし私たちにとっては、そのどちらでもないのだ。

特に条件をもって精子を選ぶ場合にはことさらだ。さらに現在、新型コロナウィルスのパンデミックの影響で、精子バンクや不妊治療を行うクリニックは精子不足状態にある。男性たちが以前ほど精子提供しない一方で、精子に対する需要は減っていないからだ。一部の精子バンクでは需要は一定、他方では急激に高まっている。

「6月以来、私たちの販売記録は過去最高を記録し続けています。これはアメリカ国内だけでなく世界的な傾向で、イギリスやオーストラリア、カナダでも増えています」とアメリカ最大級の精子バンク「シアトル精子バンク」のアンジェロ・アラードは述べた。アラードは同社でコンプライアンス・スーパーバイザーを務める。同社の精子の売上高は、供給減少にも関わらず、前年比で20%増だったという。

「当社の3拠点には、通常180人の精子提供者がいます」とアラードは語る。「それが今は117人に減少しました。80人だった月もありました。状況が好転するような兆候は見られません」

別の大手精子バンクの「フェアファックス・クライオバンク」のオペレーション・ディレクターであるミシェル・オッティは、同社のオンラインの精子販売カタログへのアクセス数が増加していると言う。なぜなら「人々の生活や仕事がより柔軟になっているからです」という。

「そして、この状況下で何かしらの希望を見つけようとしているというのもあると思います」と彼女は加えて言った。

精子不足に人々は不安がり、多くは苛立っている。

「新しい精子提供者はすぐ見つかるんですか?」と、世界最大級の精子バンクであるカリフォルニア・クライオバンクのオンライン掲示板に、“BabyV2021”というハンドルネームのユーザーが最近投稿した。「精子提供が減っているようですね」と、“sc_cal”というハンドルネームの他のユーザーも書く。

資本主義の混乱の中で、人々が精子を売買する“スパーム・ワールド”には歯止めがかからなくなった。精子提供者たちが直接顧客と取引を始めているのだ。彼らは母親になリたい女性たちと、ある午後Airbnbの部屋で会って受け渡しをする。何万人ものメンバーを擁するFacebookグループが次々に立ち上がっている。

私がこの状況についてよく知る理由はとてもシンプルだ。私は32歳で女性のパートナーを持ち、家にこもってオンラインで最も優れた精子を探しているものの、行き詰まっている。

人気があるのは大卒者の精子

昨春、私が精子バンクと話し始めた頃には、すでにその供給量は懸念されていた。スパーム・ワールドでは確実な量を確保するのは難しい。研究者は1980年代に集められたデータを引用して、アメリカでドナー提供の精子によって生まれる子供の数は年に3万人から6万人の間だと推定している。

一方、精子提供擁護派は規制がないため信頼できる数字はなく、この推定数域は不適切だと言う。精子バンクだけでも、2018年にはおよそ40憶ドルもの産業だったのである。 ドナーの提供精子を必要とする不妊問題を抱えた異性愛者カップルが常に存在する一方で、同性婚の合法化、自らシングルマザーになることを選ぶ女性の増加で、精子市場は過去10年間で拡大した。精子バンクの利用者のおよそ20%が異性愛者カップルで、60%が女性の同性愛者、20%が選択的シングルマザーだという。

この需要に対応できるよう、男性たちから長年安定したペースで精子提供を受けていたと精子バンク数社は述べた。しかし新型コロナウィルスが状況を変えてしまった。既存ドナーたちは施設に来るのを恐れるようになり、新規ドナーの登録はロックダウンの期間中に凍結され、その後も増えない精子バンクもあった。凍結した精子のストックが多めにあるものの、それほど長くはもたないと話す精子バンクもある。

「精子提供者を集めるのはますます難しくなっています」と、カリフォルニア・クライオバンクで戦略的アライアンスを担当する副社長スコット・ブラウンは述べた。「人々はそれでも子供を持ちたがっているのです」

多くの人々はまた優秀な精子を求めている。だからこそ大手の精子バンク数社はトップ大学のそばにあり、カリフォルニア州パロアルトのスタンフォード大学の近くや、マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学の近くに精子採取センターを有する。大学生は最も頼れるグループの一つだ。数ヵ月で約4000ドル(約42万円)と引き換えに世界中でおよそ50人の生物学上の子供を創造するカオスとなる可能性を持ち、彼らもまたそれを良い取引だとみなす。

精子提供者は通常、数ヵ月間、週に1、2度精子バンクに行き、数十の家族に販売するのに十分な量の精子を提供する。

「勧誘活動のほとんどは男子学生の交友サークルを中心に行われますが、今はこうしたサークルが集まっていないんです」とロザンナ・ヘルツは述べた。ウェルズリー大学で女性とジェンダー研究の部門長で、精子提供者の概念について論じた『ランダム・ファミリー』の共著者だ。「人々は、いわゆる大学教育を受けた精子が欲しいんです」

そのため、精子バンクは必死だ。ある勧誘担当者は、ジムが閉鎖されてから屋外のトレイルの入り口で宣伝活動を始めたと話した。他の精子バンクの営業担当者は、精子提供者を集めるため現金のボーナスをつけるよう経営陣に求めたが、上司たちは前例を作ることを危惧したのだという。

精子バンクが苦労を余儀なくされるもうひとつの理由は、食品医薬品局(FDA)の厳しい規定に従う必要があるということだ。精子は提供からまず6ヵ月間個別保管しなければならない。さらに精子提供者は一度の採取ごとに血液検査を受ける必要があるという。

ほとんどの精子バンクでは25~30家族分と、1人が提供できる精子の量に制限を設けている。これは、遺伝子に懸念があった場合にその広がりを一定の範囲内にとどめるためである。精子提供者についての情報は、提供を受ける家族には絶対に知らされず、番号で識別される。現在ほぼすべての精子バンクが精子提供者の子供時代の写真は閲覧可能にしているが、大人になってからの写真を保有しているバンクもある。

イギリスやオーストラリアなど、精子提供者に大金を支払うことを違法としている国もある。アメリカではFDAは金額についての制限を設けていないものの、他の細胞組織提供と同様に精子提供も規制している。提供者は強制ではなく、自由意思によってのみ精子を提供することに同意しなくてはいけない。精子バンクは、ドナーが精子提供をする一番の理由が報酬にならないようにするというアメリカ生殖医学会のガイダンスに従う。

「私たちは精子そのものに対して支払っているのではありません。人間の細胞組織を売買することはできないからです」とアラードは言った。正確には、支払は提供者の時間や旅費に対する払い戻しなのだと述べた。

アラードによると、シアトル精子バンクは今も精子を提供する男性の安全を確保するためにあらゆる手をつくしているという。以前は予約なしでやってきた人々数十人を受けいれ、採取していたが、今は精子提供をできる人数を1時間に6人までに制限している。

提供者は体温測定と新型コロナウィルスのスクリーニングのための質問を受ける。全員がマスクを着用するが、ドナー男性は精子を採取して預け入れるときにはマスクを外すことができる。

パンデミックでさらに高まる精子提供へのニーズ

供給が追いつかない中で、パンデミック下で子供を授かりたいという要求はとどまるところを知らない。私は不妊治療センターのカインドボディに問い合わせた。体外受精を専門とし、国内に6つの拠点を持つセンターだ。

「カインドボディの患者数は、パンデミック前と比べて30%以上増加しています」と、マーケティング・ディレクターのレベッカ・シルバーはいう。希望のドナーの精子はすべて売り切れているか順番待ちをしなければならなかったと女性たちが話しているという。

アラードは最近、顔立ちが良く、青い瞳に黒髪という稀な組み合わせの男性ドナーの精子を35バイアル販売した。

「午前6:30に販売に出したのですが、午前10:00前には完売しました」と、アラードは話した。「こんなのは初めてです」

それを聞いて、私の顔は少しひきつった。素晴らしい精子を逃してしまったのかもしれないからだ。私は精子バンクのサイトを1日数回チェックしているが、それほど頻繁ではない。

精子の価格は相変わらず高額だ。高級な精子バンクでは1バイアルあたり最大1万100ドル(約12万円)になる。1バイアルあたり1000万から1500万の運動精子が含まれていることをバンクは保障する。母親になりたい女性(もしくはその医師)は毎月排卵期にバイアルを解凍し、精子を注入する。

妊娠するのに何ヵ月も要するので、妊娠を希望する子供の数ごとに4~5本のバイアルを購入することが推奨されている。また、提供された精子はすぐに売り切れるため、もし同じドナーの精子で2人の子供を持ちたい場合には、およそ1万ドル(約105万円)を用意する必要がある。

「多くの人々が自分の家族を持つために人生のスピードを緩めたいと願って来ました。そして今それが起きているのです」とアラードは述べる。

「リモートワークをしている間の方が、より余裕を持って子育てができると考えている人たちもいるでしょう。けれど実のところ、私には3人子供がいますが、そんなに簡単なものではありませんよ」。

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